今月は、ガスコンロとIH調理器のお話です。
どちらも、メーカーカタログ上では当たり前ですが長所
の記載のみがほとんどです。
そのため、いままでのガスコンロとの正確な比較ができず、
多くの方がイメージでIH・ガスの選択をされている場合が多いようです。
毎日使うだけに、電気・ガスの使い勝手の
長所・短所とも知って頂いたくと
よりお客さまのニーズに近い物をご選択頂けると思い
今月のTOPICSとしてご紹介いたします。
(2002年11月1日現在)
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GASコンロ |
IH調理器 |
価格(定価比較)
両面魚焼きグリル・3口コンロ
高級タイプ |
リンナイ
RSK−N730V4TG3T−ST
¥151、000(税別)
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ナショナル
KZ−321G
¥230、000(税別)
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プレート外観 |
セラミックガラス3口五徳 |
ガラスフラット平板 |
加熱方法 |
直火方式 |
コイルによる電磁誘導 |
加熱効率 |
約50% |
約75% |
温度安全装置 |
直付け方式 |
プレート下に感知センサー |
熱源供給方法 |
都市ガス
LPガス供給 |
定格AC200V
30A
最大出力4.8kW |
カタログ値を載せてみました。
簡単にみなさまの判断基準になる比較をしたいと思います。
1.熱効率・供給方法の比較
まず、ガス式と電気式の調理コンロにおける大きな違いは
加熱方法です。
ガス式コンロは炎による熱伝導によって鍋を加熱させます。
一方、IHコンロは電磁コイルによる電磁誘導により
鍋を加熱します。
その為熱効率は電気(IH)の方が優秀です。
例えば、お湯を沸かす場合は電気の方が
早いことが多いです。
また、単純比較ではコストもIHの方が
若干優れているようです。
ただ本体費用の差と新たな電源工事の必要がありますので
一概にはいえません。工事については後述いたします。
供給方式については、
いずれも家庭への引き込み方式です。
ガスの場合ガス管からの引き込みです。
電気は配電盤からの分岐になります。
ここも、ガス式と電気式(IH)とで大きな違いがあります。
ご家庭の引き込み電線は最大が200Vですので
どうしても出力に余裕がなく、
現状の電気式機種では同時にコンロ2つ使用で
グリルを使うと30Aの限界規定値(4.8kw)を超えた
5.2kwとなるため出力能力以上ということになります。
つまり、付いているコンロを全部使うとなると
現状では制限されてしまうのです。
ガス式では通常の配管使用ではまず制限はありません。
コンロ1口だけを見れば電気式でも
出力もガス式と大差の無い大容量ですし、
火を使わないのもメリットです。
また掃除しやすさも魅力です。
ということで、単純調理をされたりあまり一度に
大量に調理をなさらなかったり、炎が危ないと感じたり、
呼吸器系の疾患などで酸素ボンベを手近に
おかれるような場合には電気式コンロがオススメですし、
中華の調理や魚に味噌汁にやかんにといっぺん
に調理される場合はガス式コンロが便利となります。
2.調理勝手・加熱用器具の比較
加熱用具については、
ガスの場合、耐熱であればだいたいどんな鍋でも使えますが
電気の場合、電磁誘導という特性上
不伝導体のガラス・土鍋等と
電気を通しやすい(抵抗の小さい)アルミ・銅鍋等は
全く熱が伝わりません。
また、フラットな平面に伝導体(鍋底など)が付いていなければ
熱が伝わりませんので、
丸底中華なべや足つきの鍋は使えません。
(2003年2月にナショナルより銅鍋・多層鍋対応IHが発売されました。)
また、ガス式はガスの燃焼により
熱流・水蒸気などの上昇気流が発生して油などが
換気扇など天井に向かっていきます。
一方、電磁式のIHは空気対流が発生
しないので、飛び散った汚れが床方面
に向かいます。
このため、IH専用のうず巻きを発生させる
換気扇の導入も検討しなければなりません。
(1台約16万円)
ガスでも電気でも
汚れ自体の量はかわらず、単純に汚れる場所が
変わってしまうというだけのことです。
調理については、電気式コンロの場合
コイルがドーナツ形のため、
またコイルによる熱伝導が
一律になるのがなかなか難しい為、
焼きむらが出てしまうことがあるようです。
一方、ガス式では伝導効率の関係で、
温度の立ち上がりが電気よりも遅い場合がみられます。
3.安全装置について
いずれの場合も、温度感知センサー等により
安全が図られています。
なお、火災の発生は炎によるのではなく
鍋などに伝わる熱が内容物(油など)
の発火点に達した際に
発生するものなのでガス・電気とも
危険性は同じです。
なお、電気の方がセンサーが
プレート下にあるため
若干反応が鈍い場合があるようです。
現在では、ガスも電気も漏洩などの危険には
高度な安全装置が付いてます。
特に使い勝手で差はでないでしょう。
電気式では、電磁波が20cm内で200mガウス程発生
しているようです。
ただ、人体への影響はまだ良く分からないので
ここでは割愛いたします。
4.設置工事
いずれも、添え置き・ビルトインタイプ
が出ております。
交換・取付方法はどちらも変わりません。
簡単に終わります。
ガス式ならば既存のガス管のつなぎ直しで終了ですが、
IHの場合、単相3線200V/30Aの配電容量が必要となります。
お宅が100V線のみの場合は、引き込み工事を行います。
また、配電に余裕がない場合アンペア増設が必要となります。
いずれも、半日工事で終了いたします。
5.まとめ
このように、ガス式コンロ・電気式(IH)コンロとも
数多くの長所・短所がございます。
特に電気(IH)の場合、発売から間もないこともあり
これからもっと改良されてくると思います。
ガスの器具メーカー・電気の器具メーカーとも
お互いの長所・短所を補うべく
日夜研究されております。
ガスでは、ガラスTOPの天板や
もらい火を防ぐ、内燃式の高効率バーナーの開発が行われました。
電気式でも容量の問題などが解決されてくると思われます。
長々と記載してしまいましたが、
何より大事なのはお客さま自身の
ニーズ・使い勝手にもっとも合う製品の
お勧めと開発でしょう。
販売店としても画一的な製品でなく
1軒1軒に似合う製品のお勧めを行いたいものです。
またこの拙い文章で少しでも得られるものがございましたら幸いです。
当店では、ガスコンロ・IHコンロのいずれも取り扱っております。
みなさまの生活スタイルにフィットするコンロのお勧めが出来ればと
日々精進しております。
なにかご質問がございましたらぜひお気軽にご連絡下さいませ。
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